2025年04月30日
ミニチュアモデルによるウォーゲーム<牽引式各種砲の基本アクション>

今回は、牽引式の各種砲の基本アクションのうち、人力での移動と牽引の脱着作業、展開と撤収について解説します。
【兵員による砲の運搬】
定数を満たしたクルーであれば、砲を人力で運搬することが可能。
1イニングあたりの移動距離にはスタンス1とする。ショートダッシュや匍匐前進は出来ない。
<ドイツ軍の5cm対戦車砲。クルー4名で人力運搬が可能。>
【車輌での牽引作業、展開と撤収】
○まず前提として牽引式の各種砲は、迫撃砲や重機関銃と同様に、射撃と移動を同一イニング内にはできないとします。
これは移動する際、分解したり、砲尾をたたむからである。
○次に、砲の展開と撤収、牽引の脱着について、これらは手数と考えない。
すなわち、人力で砲を移動する場合、その移動距離内に車輌があれば、牽引状態にまですることが可能とします。
具体的な例を使って解説します。

(例1)クルップボクサー(定員6名)と37ミリ対戦車砲(クルー数3名)

イニング①−1車輌移動/到着

イニング①−2対戦車砲クルー降車(*兵員の乗降は手数とならないため。)/牽引車から取り外しと展開(*対戦車砲の脱着と展開は手数に含まないないため。)

イニング②-1 砲撃(3発可能)
イニング②-2 撤収と牽引車への取り付け/クルーの乗車

イニング③車輌移動
*以上は、車輌の直近で砲を展開・射撃する最短のアクションです。
展開と撤収時に人力で砲を移動させた場合は、さらに2イニング以上が必要になります。
以上が牽引式各種砲の基本アクションですが、迅速な展開が可能な対戦車砲と榴弾砲や加農砲などを一括りにするのもいかにも乱暴であるから、@口径100mm以上の砲については、射撃準備および撤収準備にそれぞれ丸々1イニングを消費するとしても良い。

このルールを採用した場合の具体的な例は以下の通り。

(例2)8トンハーフトラック(定員12名)と150ミリ榴弾砲(クルー数8名)

イニング①-1 車輌移動

イニング①-2 到着/榴弾砲クルー降車(*降車は手数と考えないため。)

イニング②牽引車からの取り外しと展開(*100ミリ以上の砲の展開・撤収は1イニングを要するルールを採用したため1イニング消費。)

イニング③砲撃(2発可能)

イニング④撤収と牽引車への取り付け(*100ミリ以上の砲の展開・撤収は1イニングを要するルールを採用したため1イニング消費。)

イニング⑤クルーの乗車(*乗車は手数と考えないため。)/車輌移動
*以上は、車輌の直近で砲を展開・射撃する最短のアクションです。
展開と撤収時に人力で砲を移動させた場合は、さらに2イニング以上が必要になります。
<この項続く>
2025年04月23日
ミニチュアモデルによるウォーゲーム<ハーフアーマー・フルアーマー車輌の基本アクション>

【ハーフアーマー・フルアーマー車輌の基本アクション】
装輪のソフトフキン車輌のアクションに続き、装甲兵員輸送車、装甲車、戦車、自走砲など、ハーフアーマー・フルアーマー車輌のアクションをお送りします。
想定しているゲーム規模が歩兵小隊同士+αの戦闘なので、投入する車輌は両軍合わせてせいぜい4〜5台程度が適当と考えます。
*データはホビージャパン誌の「ウォーゲームルールブック」('75年3月号)から引用しています。
使いたい車輌がデータにない場合は、実車のデータを参考に各自ルール化してください。
【各種車両のデータ】
◾️車輌名:路上最大スピード/路外最大スピード/主要搭載火砲(射程・1イニングあたりの砲撃回数)/積載量
◾️SdKfz251/1:5.5(砲を牽引した場合−1)/4.5(砲を牽引した場合−1)/機関銃(重機関銃用インストルメントを使用)/乗員2+兵員10+重火器X1

*写真は永大産業の1/87。
◾️SdKfz250/10:6(砲を牽引した場合−1)/4(砲を牽引した場合−1)/37mm対戦車砲(射程3・3発)/乗員3+兵員6+重火器X1
◾️2号C型戦車:5.5/4.5/20mm機関砲*別途ルール化するか重機関銃インストルメントを使用/乗員3名
◾️3号戦車J型:4.5/3.5/50mm砲(射程4・3発)/乗員4名

*写真はマッチボックス社製の1/76、3号L型。
◾️4号戦車E型:4.5/3.5/短砲身75mm砲(射程4・3発)/乗員4名
◾️4号戦車F-2型:4.5/3.5/長砲身75mm砲(射程5・3発)/乗員4名

*写真は永大産業製1/76、4号G型。
◾️ティーガーⅠ型:3.5/2.5/88mm砲(射程6・3発)/乗員5名
◾️ブレンガンキャリアー:6(砲を牽引した場合−1)/4.5(砲を牽引した場合−1)/機関銃(重機関銃用インストルメントを使用)/乗員3+兵員3+重火器X1

*写真はエアフィックス社製の1/76でブレンガンは搭載されていません。
◾️M3スチュワート:6/5/37mm砲(射程3・3発)/乗員3名
◾️クルセーダーMk.3:4.5/3.8/57mm砲(射程4・3発)/乗員4名
◾️M3A1グラント:4.2/3.5/37mm砲(3・3)&短砲身75mm砲(4・3)/乗員5名*2門の砲は同一イニング内にそれぞれ撃てる(計6発)
◾️バレンタインMk.9:4.5/3.7/57mm砲(射程4・3発)/乗員4名
◾️チャーチルMk.4:4.3/3.8/57mm砲(射程4・3発)/乗員4名
◾️プリースト105mm自走砲:3.8/2.8/105mm砲(射程6・2発)/乗員5名
<この項続く>
2025年04月16日
ミニチュアモデルによるウォーゲーム<車輛の基本アクション/乗降>
【車輌への乗車と降車】
今回は車輌の基本アクションのうち、兵員による車輌の「乗降」について解説します。
このアクションは装輪のソフトスキン車輌だけでなく、半装軌車両、ハーフアーマーやフルアーマーの装甲車、戦車、自走砲など、車輌全般に適用されます。
まず、このルールの基本的な考えとしては、車輌の乗降は手数として考えないということです。
極端な例を上げると、下の二つは同じと考えます。

<車輌の直近にいる>

<乗車中>
すなわち、兵員の移動範囲内に車輌があれば、そのまま乗車が可能です。
ただし乗車後、その車輌の移動は不可となります。
なぜなら、その車輌はそのイニング中、兵員の「乗車待ち」をしていた事になるからです。

<兵員のショートダッシュ(スタンス1.8)の範囲内に車輌があれば、乗車が可能。>

<乗車後、同一イニング内での車輌の移動は不可。>
これについては、ユニットは便宜上順番に動かしていくが、「本来なら、同イニング内では全てのユニットが同時に動いている」と考えれば、理解しやすいと思います。
同じ理由で、兵員を乗せた車輌が移動し目的地に到着しても、兵員は車輌直近に降車出来ても移動・展開は出来ない。
兵員はそのイニング中、車輌に乗って移動し、「時間を消費」しているからです。

<車輌が移動して目的地に到着。>

<兵員は直近に降車は出来るが(乗降は手数と考えないため)、移動は不可。>
戦車や自走砲に歩兵等が跨乗(こじょう)する場合も、この基本アクションに従えば良いでしょう。

<兵員の移動範囲内に戦車や自走砲があれば、跨乗が可能。>
<この項続く>
2025年04月09日
ミニチュアモデルによるウォーゲーム<ソフトスキン車輛の基本アクション>

「しばらく間を置いてから」と言って、それからなんと!干支が一周してしまいましたが、「ミニチュアウォーゲーム」の記事を再開します。
ご興味のある方は、過去記事も是非ご参照ください。
再開後の第1弾は、ソフトスキン車輛の基本アクションを紹介します。
【ソフトスキン車輌の基本アクション】

○ルールの簡略化を目的に、写真左から小型、中型、大型の3種類に大別します。

○小型車輌については、さらにオートバイ、サイドカー、ジープなど4輪の車輌に分類します。
○車輌のスピードは1イニングあたりに進める距離、スタンス数で表します。

○車輌のスピードは路上か、路上以外で変わります。
*道路はダイソーで購入したフェルト生地で表現しています。
直線で裁断してありますが、生地に適度な伸縮性があって、カーブをつけることが可能です。
@他に泥濘(ぬかるみ)などを設定したい場合は、フィールドにその範囲を指定し、「路外のスピードから一律スタンス1のスピードダウンとする」などとすれば良いでしょう。
以下、小型〜大型車輌のスペックを示します。
*基本的にホビージャパンルールのままですが、誤記・誤植の可能性が高い部分は整合性が取れるよう修正してあります。
■小型車輛
積載量/牽引可能な砲/路上スピード・路外スピード(単位はスタンス)/砲を牽引した場合の路上スピード・路外スピード
○オートバイ:2名/なし/7・4/ー
○サイドカー:3名+軽機関銃X1/なし/7・4/ー
○ジープ/キューベルワーゲン等:5名+重機関銃or小型迫撃砲X1/口径40ミリまで/7・4/6・3
■中型車輛:10名+重機関銃X2or重迫撃砲X1/口径105ミリまで/6・4/5・3
■大型車輛:20名+重機関銃or重迫撃砲X2/口径155ミリまで/6・4/4・3
○移動途中に、舗装道路から外れて舗装道路以外に入った場合(逆の場合も)、下記のように計算して移動距離を算出してください。

例えば、スピード路上6、路外4の中型車輌が路上をスタンス4走行した後、路外に出て走り続けたとすると・・・
4X(1ー4/6)=1.333・・・(小数点第2位以下は四捨五入)
となり、そのイニング内で路外を走行できるのは1.3スタンスとなる。
この計算が面倒という事であれば、フィールドをすべて路外(例えばすべて草原であるとか)にしてしまえば良いでしょう。
<この項続く>