2015年04月02日
『1942!!独ソ戦』手記その2。
前日は小隊をあげて、その鉄条網と小隊陣地構築に汗を流した。
我々第2分隊は小隊陣地の左側、第3分隊、通称シャハテル分隊はその右側を割り当てられ、ヴェスナー曹長の指導監督のもと、陣地構築に当たっていた。
我々の受け持ちの正面には大きな岩山があり、視界を遮っていた。
岩山右側には通路があり、その通路の中央から左側が我々分隊の受け持ち区域、右側からはシャハテル分隊の受け持ちだった。
岩山右の通路は小隊陣地の真正面にあたり、敵がここを攻めてくる可能性は低かった。
我々の受け持ちで最も危険な箇所は、岩山の左、隣の小隊との境界にある広場だった。
岩山の裏側まで敵は容易に到達可能で、そこから一気に鉄条網に取り付かれると厄介だった。
ドイツ軍歩兵分隊の要となる武器は機関銃である。
この危険な広場をくまなく狙えるよう、慎重に位置を選定してまず機銃座を作った。
機関銃の二脚は、陣地用に射界を大きく取るため、銃身の中ほどに装着した。
分隊の老練な正機関銃手ハルディヤは「ここを抜けられたら」と何度も言った。
確かに、もし敵が鉄条網を突破したら、すぐに我が小隊陣地の左側面の死角に入ってしまい、あとは容易に小隊陣地左後方に近付くことが出来そうだった。
小隊陣地左後方には作りかけの生活壕があり、そこから侵入され交通壕伝いに攻められたら万事休すだ。
しかし鉄条網の突破阻止のために機銃座を作っている自分には、突破されるのを前提にしているハルディヤの話はどうにもピンと来なかった。
ハルディヤは不服そうだったが、話を打ち切って他を見回るために歩き出した。
数歩歩いて踵(きびす)を返した。
ハルディヤの危惧に対する簡単な解決方法があるではないか。
すなわち、突破された場合の予備の機銃座を作れば良いだけのことだ。
主機銃座より少し後方に、死角を走り抜けた敵を狙える予備の機銃座をハルディヤとともに作った。
ハルディヤは満足そうに機関銃を構えて見せた。
こうして小隊陣地の我が分隊の受け持ち区域に、2個の機銃座、小銃班用の6個の銃眼、自分用の銃眼1個を作り終えた。
ヴェスナー曹長の検査を受ける。
2個の機銃座については作った経緯についても説明した。
「うん、いいね。こっちを主要な機銃座にすればいいだろう。」
ヴェスナー曹長に同意し、主機銃座と予備機銃座を入れ替えた。
なるほど当初予備とした機銃座は前方も側方も狙える好位置にあったのだ。
ハルディヤのこだわりのおかげで、結果的に良い機銃座を我々は手に入れた。
日も暮れる頃、小隊陣地と鉄条網は一応の完成を見た。
特にヴェスナー曹長ら第1分隊が作り上げた鉄条網は、一重のものに加えてその前面に低い杭を打ち、そこから斜面のように有刺鉄線が張り巡らされていた。
複雑なあやとりのように見える鉄条網は開削するにも、爆破するにもかなり手間取りそうに思えた。
陣地構築には真の完成はなく、日々手を入れて強化しなければならないのだが、歩兵相手ならこれでも鉄壁の防御と思えた。
しかし・・・。
<この項続く>
Posted by ハント at 21:05│Comments(0)
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