2010年10月14日

手記『カランタン攻防戦』

今回は2005年秋に行なわれたUSARさん主催『カランタンVol.3』の2日め終盤の模様を、当時の手記風にお送りします。
本格的リエナクトメント4回めの参加で初の分隊長役を任されましたが、1日めには分隊を一度全滅寸前にしてしまうなど、ほろ苦いデビューとなりました。

手記『カランタン攻防戦』
*終了後の記念撮影で。初の分隊長役と時折降った雨のため、かなり憔悴しています。
階級はSSロッテンフューラー。ヘルメットカバーはスティーブ・マクローガン製。迷彩スモックはエス&グラフ製。双眼鏡は小隊長からの借り物です。
設定部隊は第17SS装甲擲弾兵師団「ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲン」麾下(きか)第37SS装甲擲弾兵連隊です。

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第1分隊指揮官SS兵長の手記より抜粋

『森の外縁部まで進出したアメリカ兵の動きが慌ただしくなった。奴らは間もなく森を飛び出してくるはずだ。
「手榴弾を用意しろっ!来るぞっ!」とにかく大声で叫んだ。今や、第1分隊と第2分隊は入り乱れて共に戦っていたのだ。

森に伏兵として配置した、うちの小銃班が心配になった。指揮を執るのは中隊一の最古参・凄腕のアントンSS上等兵。きっとうまくやってくれるはずだが。

戦闘騒音の中、誰かが「右に敵!」と叫んだ。「右手の敵を押さえろ!」と命令すると、近くにいた兵が2名ほど、猛然と走っていった。

今度は左手が気になった。案の定、森から2名のアメリカ兵が左側面に走り込んで来た。
手榴弾を続けざまに2発、投げつけてやっつけた。効率は悪いが、当面の危機は去った。

弾はまだあるし、まだまだ戦える。何しろ、ここをアメリカ兵に譲るわけにはいかないのだ。
このすぐ後ろには、俺たちの中隊本部があるのだから。俺の小隊!俺の中隊!!

この時、耳を疑うような命令が聞こえた。「重火器を放棄して、撤退!」小隊長の声だった。
命令を信じる事ができず、確認しようと後方へ走った。
「我々はまだ戦えます!戦わせてください!」そこにいた中隊長に訴えた。
「命令に背くというのなら、この私を撃て」中隊長の言葉に、全身の力が抜けてしまい、両膝をついた。

こうなったら、少しでも戦友を救う他はない。きびすを返した。
「戦闘中止!戦闘中止!撃つな!撃つな!降伏する!」両手を上げて思い切り叫び続けた。
ああ、アントンSS上等兵はまだ戦っている。

混乱の中、アメリカ兵に銃を突きつけられて、我々捕虜は一塊にさせられた。
アメリカ兵は我々のポケットまさぐり、書類やお土産になりそうなものを物色しだした。
ゾルトブーフと地図、手紙の束を取られた。まだ開封してないものもあったのに・・・。
アメリカ兵に「レック ミッヒ イム アルシュ」(*1)と言ってやった。我らがベルリヒンゲン公のありがたいお言葉だよ。

中隊長ツァイルSS大尉と小隊長ピルツSS中尉も捕虜となっていた。アメリカ軍将校と何かの交渉でもしているのだろうか。
・・・この直後、悲しい事件が起こった。悲しすぎて到底書けやしない事だった!(*2)

静かになって、捕虜になった戦友たちが集まって来た。分隊員の多くは負傷していたが、しぶとく生き残っていた。
最年少のフルスは、最後の最後はスコップで白兵戦まで演じたそうだ。

だが、通信手ヴェルナーが悲惨な最期をとげたと聞き、暗然となった。いい奴だったのに・・・。
おそらく他の小隊の、ヴェルナーに少し似た兵が横に立ち、「葬送曲」を歌いだした。皆こうべを垂れて戦友の死を悼んだ。』

*1 「俺のケツを舐めろ。」「消え失せろ」の意。第17SS装甲擲弾兵師団が名前を冠した、ドイツの英雄ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲンの、ゲーテの戯曲中の台詞として有名。

*2 ピルツSS中尉は隠し持っていた手榴弾を炸裂させ、米兵数名を道連れに自爆した。

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以上の手記は実際イベント中、参加者によって即興で演じられた芝居を元にして書いています。
このような「即興による集団演劇」と呼べる物は、本来のリエナクトメントとちょっと違うのかも知れません。
が、やってみると何とも面白いのも事実でなんですよね・・・。
個人的には、控えめに、脱線せずに真面目にやる分には良いんではないか〜と思っています。もちろん、各イベントの趣旨に反しない事が大前提ですが。





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