2010年09月05日

手記『ビゾリーの戦い』その3

続きです。

手記『ビゾリーの戦い』その3
*8センチ迫撃砲を撃つ、ヘルムートSS上等兵率いる第3分隊「エルベ・ドライ」。この作戦時、重火器中隊より火力増強のため分遣されていた。右端の兵士は機関銃の予備銃身を背負っている。エルベ・ドライは機関銃も装備していたのだ。カラー写真のおかげで、武装SSが採用していたの迷彩衣類の効果の程がわかる。


我が第1分隊「エルベ・アインス」は事前の打ち合わせ通り、殿(しんがり)を務めた。

後退の手順はこうだ。
まず、動きが鈍いが大火力の機関銃班を後退させ、残りがその援護をする。
後退した機関銃の援護のもと、残りの分隊員が機関銃の位置まで後退して展開する。
この繰り返しだ。

機銃手アルベルトの位置取りが絶妙だったおかげで、米兵は角を曲がる度に機銃掃射を受けねばならなかった。
遺棄された装甲車に取り付くと、副分隊長のヴォルフガングSS一等兵がそばに寄り添ってくれていた。
ああ、最高の分隊員たち!俺は恵まれている!

俺たちが821号線上の小さな橋にたどり着いた時、中隊は橋を渡り終えて対岸に展開していた。
味方の8センチ迫撃砲だろうか、米軍の周辺に次々と着弾し始めたのだが、敵との距離が近い我々も伏せねばならなかった。
迫撃砲を持つ重火器分隊「エルベ・ドライ」はとびきりの男前、ヘルムートSS上等兵が率いていた。
以前、国防軍砲兵隊にいたと言う彼の腕前には定評があったから、おそらくギリギリの線を狙って我々を援護してくれているのだろう。

さて、潮時だ。
何かのタンクに隠れている米軍に、駄賃代わりの機銃掃射をお見舞いしてから、まず機関銃班に橋を渡らせた。
機関銃班の安全を確認して、残り全員で一目散に橋を渡った。
この時ばかりは、後ろを振り向く余裕はなかった。

敵の攻勢は勢いを失った。
危険な殿を務めた我が分隊に死傷者はなし。
作戦終了後、分隊員たちは全員某かの叙勲を受ける事となった。

〜第26SS擲弾兵連隊第2大隊 SS下級小隊指揮官エルンスト・ハントの手記より抜粋〜

手記『ビゾリーの戦い』その3
*作戦後の叙勲式の様子。中央付近に姿勢良く立つ衛生兵はハンフェルトSS二等兵(当時)。彼はその後、中隊長の命を救った事で1級鉄十字章を授与されている。

(写真やリエナクト用の地図を使わせて頂きました。ありがとうございました。)





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